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誰も組織を見ることが出来ない

現代社会で生きている中で、『組織』に触れない日はありません。

 スーパーで買い物をしている時、

 図書館で本を借りている時、

 郵便局で郵便物を出した時、

いろいろな所で、「組織」の恩恵を受けています。

 

弊社は『組織』と『人材』に関するコンサルティングを行っています。

その中で『組織』に関して感じていることを今回はコラムにしたいと思います。

  

『組織』とは

2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動、諸力の体系」とされ

「人間が個人として達成できない事を他の人々との協働に

 よって達成しようとしたときに組織が生まれる」(バーナード)

と教科書的には定義されます。

 

皆さんの会社は協働がなされているでしょうか?

そして、

協働によるシナジーが発揮されているでしょうか?

 

多くの組織において「1+1」が2にならず、

場合によっては1になる、そんな組織もあります。

組織のシナジーを2以上にするためにまず何をするべきなのでしょうか。

 

それは、全体を観ることです。

組織には様々な変数があります。まるで絡まった糸のように多くの関係者、外部環境に影響されて

「今何が起きているのか?」

見えなくなっています。

『群盲、象を撫でる(評す)』という言葉があります。

このコラムの絵は、その言葉をモチーフにしたものです。

この言葉は、

一部分だけをみて、全体を観る事ができないことの例えです。

 

一部分だけをみて、

・若手のプレゼン能力が足りない

・課長は忙しいことを言い訳に人材育成をしない

と捉え、

その事象から「人を採用しよう」「研修をしよう」と言っても無意味です。

 

大切なのは、「今の事象が起きた」と捉えるのではなく、

「今の事象が起きたシステム(状況や条件)があって、起きてしまっている」

と捉えることです。

このシステムにおいては、個々人の意図は余り意味がなく、

システムによって、個々人の行動が規定、決定されてしまっています。

なので、そのシステムを緩めることが重要です。

 

緩めるというのは、

「認知すること」そして「その認知について対話すること」

ではないかと考えています。

「自分は悪くない」

「相手が悪い」

という負のサイクルを一旦脇に置いて、

「私たちは、こういうシステムに置かれてるよね」

「私たちは、こういうシステムの中で意識や行動が規定されてるよね」

というふうに客観視すること。

それを踏まえた上で、一人一人が

「こういう時にこういうことやってしまうけど、気をつけよう」

「相手の反応に困惑した時に、これはきっとシステムのせいなんだよな」

という意識を頭の隅っこに持っておくこと。

このように、自分の置かれたシステムに自覚的、意識的になる。

それだけで、システムに踊らされるのではなく、

少しでもシステムや組織を理解できるのではないでしょうか。

 

株式会社カタドリ 

      専務取締役 松本 宜大