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今、試される人間観

~管理しないと気が済まない病からの脱却

新型コロナによる緊急事態宣言が出され、大変な状況下と思いますが、

皆様いかがお過ごしでしょうか。

お元気にされていますか。

こんな時こそ、前向きにポジティブでいましょう。

全国津々浦々で試行錯誤をしながら、少しでもお客様や取引先のご要望にお応えするべく、

または、(売り上げが急減の中で)会社の業績を維持するべく、奮励努力されている方も多いと思います。

空けない夜はなく、上がらない雨はありません。

みんなで、この難局を乗り切りましょう。

 

また、こんな困難な中で医療サービスに従事されている方、社会インフラのサービスに携わる方、

消費者のために食料品や医療品を生産されているメーカーの方、それを消費者に届ける運送業や流通業の方、

その他に社会や顧客のために経済活動を続けている方、

本当に有難うございます。

 

このような困難な今こそ、我々の人間観が試されている気がします。

 

新型コロナ危機下で在宅勤務をしている中で、こんな声をお聞きします。

(下記は新入社員に対してではありません、新入社員に対してでもどうかと思いますが、、)

・始業時間から終業時間までZOOMで繋がっていることを強要される

(もしくは、違った方法で監視されていると感じさせている)

・始業時間と終業時間でZOOMで1時間MTGがあり、さぼらないように釘を刺される   

・毎日、日報を詳細に書くことを要求される(報連相は当然あって良いと思います)

・他の人の日報を見ていないことで苦言を言われる

 

普段、人事のコンサルをしているので、ある一定の層(結構大多数だと思う)に

”ある人間観”があるのではないか、と思っています。

それは

・部下を管理したい

・部下を管理しないと気が済まない

といったようなマネジメント観であり、

その根底にある

・人は放っておくとサボるに違いない

といった人間観です。

 

会社は、ボランティア組織でも、趣味のサークルでもありません。

求められるべきは、『成果』ですし、

組織上なんらかの管理機能(管理職という言葉は嫌いですが)は必要です。

ただし、上記のようなことはやり過ぎです。

まるで監獄です。

監獄の中で、働きたい人がどこにいるのでしょうか。

そんなに、社員が信じられませんか?

人から管理されて、のびのびと仕事が出来ますか?

(家庭という安住の場に、マネージャーなり会社なりの強権を

持ち込むことはデリカシーのある事とは思えません)

 

この人間観が、

本来楽しいはずの仕事をつまらない徒労に変え、

本来相乗効果を産み出すはずのチームを単なる人の集まりに変え、

本来イキイキと働きたい社員を委縮させています。

もうやめませんか、こういうの。。。

 

社会人となり、仕事をしだした時に感じた

『仕事って楽しい!面白い!』という感覚を忘れちゃいましたか?

仕事とは、楽しく面白い、自分の人生をかけるに値する尊いものです。

管理に怯え、委縮させるのではなく、

本人の強みや意欲を活かして、その尊い仕事で成果をあげさせることに集中しませんか。

 

それと、これは今言っても致し方ないのですが、

こんな管理で、社員を監獄に入れせざるを得ないという会社は

人材育成(広い意味での人間形成)を失敗したと思えてなりません。

この危機の中でサボってしまう社員を作ってきたとも言えます。

家が火事になったときに、消火を手伝わない家族がいますか?

人が道端で倒れていて、何とも思わない人がいますか?

あなたの会社も大変でしょう。

大変なことを社員はわかっているのでしょう。

(この点は、会社の経営者やマネージャーは自分の言葉で

 力強く語るべきです)

あなたの社員がそんな会社の危機でもサボってしまうとするなら

それは、そんな社員を作ってしまった

経営者やマネージャー、人事の責任です。

猛省してください。

 

日報については意見のある方もいると思います。

入社したての新入社員ならともかく5年目社員に必要でしょうか。

個人的見解ですが、週報でいいと思います。

日々のコミュニケーションも毎日の日報ではなく、

せめて、始業時に「今日やる事」終業時「その進捗や結果」を

メールで連絡でいいのではないのでしょうか。

 

この新型コロナ危機は、

『会社が社員をどのように見ているか』

『会社が社員を信じているかどうか』

ということが試されているのではないでしょうか。

 

今はこの危機下で顕在化しませんが、

『会社は社員を管理したいんだな、社員を信じていないんだな』

というように社員が感じ、心理的に離脱して、

ひいては新型コロナウィルス感染拡大が収まった時に

本当に離脱(転職)してしまうのではないでしょうか。

そういった意味で、早くこの

『管理しないと気が済まない病』が無い企業、それに気づき修正できる企業

その病に気づくこともなく、気づかないから修正できない企業

に分かれ、選別されていくのかもしれません。

 

最後は、漢籍のこの言葉で終わりにしたいと思います。

 

『疾風、勁草を知る』(後漢書)

強い風が吹くと、強く丈夫な草がわかる。

 

文責:松本 宜大